2013年4月17日(水)にIFHD労働組合セミナー(2013年 第3回)を開催しました。
2013年の第3回は、独立行政法人 労働政策研究・研修機構 労使関係部門 統括研究員の濱口桂一郞氏に、「多様な正社員と解雇規制」についてご報告いただきました。
今回のセミナーでは、短時間正社員や地域限定正社員など正社員の種類を増やすこと、並びに解雇規制の見直しについて議論しました。雇用保障は、労働組合が旗印として掲げてきた重要な目標です。これまで通りの考え方でいいのか、あるいは別の考え方を取る必要があるのか、濱口氏の問題提起を受けて活発な意見交換が行われました。
濱口氏の報告は、次の8点から構成されていました。
1.メンバーシップ契約としての雇用契約
2.長時間労働と転勤を条件とする雇用保障
3.生活給制度のメリットとデメリット
4.陰画としての非正規労働者
5.ジョブ契約としての雇用契約
6.メンバーシップ型に修正された判例法理
7.ジョブ型正社員の構築
8.ジョブ型雇用政策の再構築
雇用の種類として、メンバーシップ型とジョブ型に区別されたことで、現代の多様な働き方が浮き彫りになっていました。「企業で働くということは、能力があるから契約して雇われることが基本になっているはずだ。しかし、日本企業の正社員雇用は、担当する業務や勤務地を限定せずに雇用される。これがいわゆるメンバーシップ型契約である。経営側と労組側の双方は、この点によく注意して解雇規制について話をする必要がある。」多くの人が納得する職場作りが求められるのではと感じました。
ご報告のあと、各労働組合が持つ問題意識を出し合って議論しました。
ある参加者は、「中堅以下の社員が能力のないベテラン社員に対して冷たい。仕事のできない人を解雇するのは当然だという発言が出て苦慮している」という話をされました。処遇や待遇といった面での不公平感が若い世代にはあるようです。しかし、現在のベテラン層が若いときにどのような働き方をしていたのかという点に配慮して議論する必要があるという指摘もありました。
労働組合が、多様な正社員や解雇規制について考えるとき、組合員の声が大切です。働き方に対する意識やどのようにすればより良い職場環境をつくりだせるか、労働組合として把握しておくことは大事なことだと思いました。「労働組合がすべきことは、しっかり組合員の意見を汲み上げることです」という濱口氏の言葉に共感しました。
開催場所:法政大学新一口坂校舎 教室
時間:18:30~20:30
NPO IFHD 事務局